大学編入に関する受験生と大学側の意識のズレ

こう書くと大いに誤解を招くと思いますが、

大学の3年次(または2年次)に、大学受験の一般入試よりもペーパーテストの比重が軽い試験で入学できるのが、編入制度です。

中には学科試験が事実上免除されているようなところもあります。なので”受かったら儲けもの”“あわよくば”的な認識で受けようとする大学生や社会人が必ず毎年おられます。

「一般入試で受けるよりも簡単なテストで大学に入れる編入制度? なぜ、そんな私にとって都合がいいものがあるのだろう?」と考える人はあまりおられません。人間というのは「自分にとって得か損か」という視点で物事を見やすいので仕方ないことかもしれません。

しかし「自分にとって得か損か」ではなくて「大学にとってどうなのか」という相手の立場で考えられるか否かが明暗を分けます。大学側が編入という制度を設けているのは「編入されるのが3年(または2年)」というところにヒントがあると思います。

ご存知のように4年制大学の最初の2年間というのは一般教養、つまりいろいろな学問を幅広く学ぶ段階です。それを踏まえて、3年次に個々の学生がより掘り下げたい専攻やテーマを勉強・研究できる研究室に配属されるというのが一般的な流れです。

ということはつまり大学は「一般教養レベルの知識はすでに習得している学生や社会人を対象としている。その上で、より専門的に『こういうことを勉強したい』」という人に編入で入ってきてほしいはずです。

「こういうことを勉強・研究したいが、今の環境ではできない。それが出来る学習環境として、編入志望先が最適だと判断したから」という理由の学生や社会人が欲しいのです。

ですから当然、編入を志すなら志望大学の志望学部の研究室のWebサイトを見て授業内容を確認するとか、大学が公開しているシラバスをリサーチして「本当に自分がやりたい勉強・研究ができるか」「どうしてもこの大学に編入しなければならない理由」を調べることが求められます。

そのうえで「自分のやりたいことと、志望大学の教授の研究がマッチしているから受験しよう」という人が受けるのが大学の編入制度です。

これは、編入を志望されているなら全員必須のアクションです。しかし、こういうことをきちんと調べない人がとても多いのも事実です。

こういう準備なしで「とりあえず合格すること」が主目的になっていると、入ってから大学に来なくなったり、ドロップアウトしてしまう可能性が高くなります。

実際、自分の周りにもこういう方が何人かいました。
会社を辞めて編入してきた学生がそうなった時に、ある教授が「あの人は、会社を辞めてうちに入ってきたはずだったんだけどなあ・・・」と、とても残念そうにおっしゃっていたのを今も忘れられません。

こういう事態を招くのは、大学側にとっても編入学生にとっても不幸なことです。ですから難関大学であればあるほど、こういう傾向がある受験生は面接試験の段階でなるべく排除しようとします。

二次試験の面接では当然「なぜうちに編入したいのですか」と聞かれます。
「今の環境のままでもいいんじゃないですか」「別に無理してうちの大学に編入する必要ないのでは」と言われた時に相手が納得するような答えを準備しなければなりません。

「自分がこうしたい、ああしたい」という視点だけで編入制度を見ていると、自分の都合の良いように考えがちになるため、こういう観点が抜け落ちます。

大学への編入を考えている方はぜひ一度「大学側が、いったい何を望んでいるのか?」という認識を持っていただければと思います。