受験勉強のために会社を辞めるべき?

大学編入・大学院受験に限った話ではないですが「試験を突破するために会社を辞めて受験勉強に専念したい」という方が時々おられます。

これで思い出すのはある弁護士の知人です。その人は「司法試験の勉強に専念するために、最後の1年は仕事を辞めて受験勉強に専念していた」と言っていました。

確かに仕事を辞めれば、単純に勉強する時間は増えるので合格率は上がるように思えます。

しかし、私は「大学編入・大学院入試の勉強のために会社を辞めるのには反対」です。これは「受験勉強のために部活を辞める中学生や高校生の成績は伸びないことが多い」のと似た理由からです。

人間は、24時間自由な時間の連続を与えられても上手く使いこなせません。時間はあるのだから、と甘えが出てきます。逆に、ある程度制約があったほうが「なんとか時間のやりくりをしよう」とか「時間が限られているから、その時間は集中しなければ」とか創意工夫をいろいろ考えるものです。

先の弁護士の知人も「仕事を何年も続けながら司法試験の勉強をしていたけれど、『今年で決める!』と思った年に数点足りなくて落ちた。だから確実にパスするために、次の年だけ仕事を辞めて勉強に専念した」と言っていました。

私の場合は会社員をやりながら早稲田大学文学部 東洋哲学専修の学士編入試験のための受験勉強をしていましたが、「仕事をやりながら受験勉強をしていたから受かった」と思っています。土日など、まるまる24時間使える日に勉強するよりも、仕事を終えた後に勉強していた日の方がはかどりました。実際、月曜日に会社に行ってデスクについた時「会社というのは偉大だなあ。土日の受験勉強モードの視野が狭くなって凝り固まった頭がほぐされていく感じがして、とても調子がいいな」と思った記憶があります。

やってみると分かりますが24時間何も予定がない状態で「さあやるぞ!」と勉強をしても、意外にはかどりません。実際、24時間フリーなはずの土日よりもフルタイムで働いているウィークデーの勉強量の方がなぜか多かったことが結構ありました。

「24時間まるごと自分の裁量で好きに使える自由な時間の連続を与えられる」と、人間はどうしてもダレます。それよりも、「仕事」という他にやらなければいけない事があったほうが良い刺激になります。

「勉強だけしていればそれでいいし、むしろそうしなければ勝てない」のは一般入試の大学受験までだと思った方がよいように思います。
自分の経験と観察から「仕事をしている社会人が、受験勉強のために会社を辞める」ということにはあまり賛成できません。

さらに言うなら、大学が編入や大学院入試で社会人を優遇することが多いのは「勉強だけしか知らない受験生とは異なる、豊富な社会経験を経た社会人」が欲しいからという一面も大きいです。

社会や人生で活用するために学ぶのであればなおさら、脳みそを「勉強だけしていればいい受験生アタマ」にしてしまうのは本末転倒ではないでしょうか。